自遊通信 No.87(2024 春号)

発 行 自遊学校 文/河原木憲彦 絵/野口ちとせ



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自遊学校は築72年の木造校舎です。当時の学校では教室に面した廊下を半土間式にして、靴を履いたまま校内を歩ける様式が流行したようです。この様式を持った廃校をかつて高知県内ではいくつか見たことがありますが、他県では見たことがないので、これは高知県の一部地域の現象だったのかもしれません。
調査したわけではないのでわかりませんが、この様式は古い様式なので、現在も使用できる状態で残っているのは自遊学校だけかも? だとすると貴重なものかもしれない、なんて想像しています。
自遊学校は最低限の修理、修繕しかしていなくて、殆ど72年前のまま現在に至っています。設備も、風呂以外は手をつけていません。そのうえ夜はランプの照明だけだし。不便ではないか?と言われますが、はっきり言って不便です。でも、なんでも便利な方が良いかというと、ちょっと待てよと思います。
近くにスーパーや飲食店がないと、やむなく空き地で野菜を作ったり、ここは海辺なので魚釣りしたりして食料を調達したり、自分の身体を動かすことが多くなる。自給できる範囲が広くなるのは、財布に優しく健康にも良いことです。

不便な生活はいろいろ工夫が必要になります。それがおもしろい。不便にはそういう「豊かさ」、本当の意味での贅沢があるように思います。「便利はおもしろくない」と養老孟司さんも言っていました。

 開花の報温み始めた土を踏む

 

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